ASEANの税制(カンボジア)

カンボジアの税制は、 1997 年に制定された税法(Law on Taxation)および 2003年改正税法(Amendment Law to Law on Taxation)に基づいて規定されております。カンボジアの税金は、日本のような国税・地方税という分類はなく、税務局が管轄する国税のみの分類となっています。また、徴収方法により「直接税」と「間接税」に分類することができます。

【主な税金の種類】

税金 内容
直接税 利潤税(Profit Tax) 法人所得及び個人所得(給与以外の所得)にかかる税金
給与税(Tax on Salary) 給与及びベネフィットにかかる税金
資産譲渡税(Property Transfer Tax) 資産の譲渡にかかる税金
その他(特許税、印紙税など) 上記以外のその他の税金
間接税 源泉所得税(Withholding Tax) 給与、報酬などにかかる税金
付加価値税(Value Added Tax) 日本の消費税に相当する税金
特定商品・サービス税 (Specific Tax on Certain Merchandise and Services) 特定商品及びサービスにかかる税金
輸出入関税(Import and Export Duties) 輸出入にかかる関税
その他(宿泊施設税など) 上記以外のその他の税金

1 利潤税

利潤税は、日本で言う法人税及び個人所得税(給与以外の所得)に該当します。カンボジアでは法人・個人を問わず、事業活動等から得た所得は利潤税の課税対象となります。税制が未整備であるため、利潤税のなかに法人と個人にかかる規定が混在しており、カンボジア独自の税制体系となっています。

利潤税の納税方法には、下記3つの方式があります。

①申告納税方式(Real regime)
②簡易課税方式(Simplified regime)
③みなし推計課税方式(Estimated regime)

大会社は、①申告納税方式を採用する必要があります。その他は、③みなし推計課税方式を採用するケースが大半です。税制が未整備なためカンボジア独自の税制体系となっています。

利潤税の税率

通常、一般法人の利潤税の税率は、20%です。以下、事業形態によって税率が異なりますので、下記表をご参照ください。

法人所得税の税率

事業形態 税率
一般法人(投資優遇措置などの軽減税率が適用される場合を除く) 20%
原油・ガスの生産分与契約、木材、鉱石、金、宝石を含む天然資源の開発 30%
生命保険、損害保険または再保険業を行う保険会社 5%

最低代替税

カンボジアでは、課税所得がマイナスになり税額が発生しない場合であっても、利潤税の代替として最低代替税を納める必要があります。最低代替税は、利潤税とは別の税金で、年間売上高(VATを除く)に1%を乗じた税額になります。ただし、この最低代替税は、最低代替税が利潤税の税額を上回った場合にのみ適用されるため、利潤税が年間売上高(VATを除く)の1%を超えた場合には、利潤税のみを納めることになります。なお、投資優遇措置(QIP)適用企業については、この最低代替税は免除されています。

申告・納税

利潤税の確定申告書は,課税年度終了の日から3カ月以内に提出する必要があります。なお、会社の所得がない場合でも、上述の最低代替税を納める必要があるため、所得がマイナスであっても確定申告書を提出する必要があります。

予定申告・納税

法人(投資優遇措置適用法人を除く)は、毎月の売上又は総収入(VATを除く)に対して1%を乗じた税額を翌月15日までに予定申告し、税金を納付しなければなりません。ただし、予定納税で既に納付した金額については、確定申告で確定した利潤税から差引くことができます。また、既に納めた予定納税額が納めるべき利潤税額を上回る場合には、差額分の還付を受けるか、もしくはその金額を翌課税年度の予定納税額とすることができます。

2 付加価値税

付加価値税(VAT=Value Added Tax)は、日本の消費税に相当する税金です。付加価値税については、それが発生した月の翌月20日以内に毎月申告及び納付する必要があります。

税額計算

毎月受け取った売上VATから仕入等で支払ったVATを控除して計算します。
税額=売上に係るVAT-仕入に係るVAT

税率

付加価値税の税率は、通常10%です。ただし、カンボジアからの輸出取引、国外で提供した役務サービス、国際的な運送サービスについては、本来は課税対象ですが現行0%の税率が適用されています。

申告・納税

付加価値税の納税義務者は、原則として納付すべき税額がある場合、翌月20日までに税務局へ申告書を提出し、納税を行う必要があります。

3 個人所得税

個人所得税については、所得の獲得形態により給与税と利潤税の2種類に分類することができます。給与税は、給与収入から得られる所得に対する税金となります。一方、利潤税は、給与収入以外から得られる所得に対する税金となります。

居住者及び非居住者の納税範囲

カンボジアで「居住者」と判定された場合は、カンボジアの国内所得と他国において発生した所得の全てが課税対象となります。これに対して、「非居住者」と判定された場合は、カンボジア国内で発生した所得のみが課税対象となります。

区分 納税範囲
居住者 国内源泉所得+国外源泉所得
非居住者 国内源泉所得のみ

国内源泉所得:カンボジアで発生した所得
国外源泉所得:カンボジア以外の国で発生した所得

4 給与税

給与税の課税対象となるのは、給与(給与、報酬、賃金、ボーナス、残業代、従業員に対する貸付金等)とベネフィット(福利厚生費、社会保険料、住宅手当の支給、会社負担の保険料、社用車の個人的使用、低利率貸付金、社内販売、社員教育費)に分類されます。これらには、それぞれに異なる税率が適用されます。給与については、累進課税が適用され、ベネフィットについては、20%の税率が適用されます。また、これらの申告・納税手続は、会社(雇用者側)が給与支払い月の翌月15日までに申告・納付する必要があります。

性質 内容 税率
給与 給与、報酬、賃金、ボーナス、残業代、従業員に対する貸付金等 累進課税
ベネフィット 福利厚生費、社会保険料、住宅手当の支給、会社負担の保険料、社用車の個人的使用、低利率貸付金、社内販売、社員教育費 20%

*非居住者については、給与及びベネフィットの区分がないため税率は一律20%となります。

累進課税の税率

月間給与所得額(リエル) 税率
0~500,000 0%
500,001~1,250,000 5%
1,250,001~8,500,000 10%
8,500,001~12,500,000 15%
12,500,001~ 20%

給与税の申告・納付

会社(雇用者側)は、給与支払い月の翌月15日までに税務局に給与税の申告及び税金の納付を行う必要があります。