押さえておきたい!日本の税金解説8

国外財産調書制度①

近年は、経済がグローバル化し、それに伴って個人が保有する資産の保有形態も変わってきました。日本の居住者の方でも、外貨預金、外国株式、FX、海外保険、海外不動産など国外の財産を保有する方が増えてきています。このような状況の中、日本の税務当局は、居住者の方で一定金額を超える国外財産を保有する場合、その保有する国外財産の状況を報告させる制度を創設しました。これは、一般的に国外財産調書制度と呼ばれるものです。今回は、この制度について解説したいと思います。

制度創設の背景

海外投資が活発になるとともに日本の個人資産の海外流出は、近年増加傾向にあります。これまで、日本の税務当局は、国外財産の把握が難しいなどの理由から、国外財産にかかる所得税や相続税の課税漏れが多かったという実情があります。税務当局にとって国外財産に関する課税の適正化は大きな課題でありました。そこで、税務当局は、平成24年度税制改正において、国外財産の把握体制が十分でない状況下、日本国内の税の適正な課税及び徴収に資するため、国外財産調書制度を創設しました。

制度の概要

国外財産調書制度は、一定額(5,000万円)を超える国外財産を保有する個人(居住者)に対し、その保有する国外財産に係る調書の提出を求める制度です。つまり、その年の12月31日現在において、総額5,000万円を超える国外財産を保有する居住者は、その国外財産の種類、数量、価額等を記載した「国外財産調書」をその翌年の3月15日までに所轄の税務署に提出しなければならないという制度です。

納税対策

相続税の納付期限は、申告期限と同じく相続の発生を知った日の翌日から10か月です。相続税の納付は、原則として現金納付ですが、納税資金が足りない場合には、分割払いで相続税を納める延納制度や、現物で納める物納制度を利用することができます。ただ、延納の場合、利子税がかかります。また、物納の場合は、却下される可能性もあります。そのため、納税対策としては、現金化しやすい財産を準備しておくことが必要です。例えば、生命保険に加入し死亡時に現金を受取れるようにしておく方法もあります。

具体的例示

例えば、【図1】において、保有者本人がA株式、B土地を記載して国外財産調書を税務署に提出していました。その後、保有者本人が亡くなり相続が発生し、相続人はB土地に関する所得税や相続税を申告しませんでした。しかし、この制度導入により税務署は国外財産調書をもとに申告漏れを容易に把握できるようになります。

【図1】具体的例示(出典:財務省)

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