押さえておきたい!日本の税金解説12

所得税調査の申告漏れ事例①

昨年6月までの1年間の期間に行われた日本の所得税の税務調査について、申告漏れ事例が多くみられたなかに海外取引に関するものがありました。日本の税務当局は、今年度の方針として「富裕層」「無申告」「国際化・海外取引」「消費税」の4項目を重点課題として取り組む姿勢を打ち出しています。以前に解説した国外財産調書制度とともに海外案件に力をいれてゆくようです。そこで、今回では税務当局が公表している海外取引に絡む日本の税金申告漏れ事例を取り上げたいと思います。

【事例1】富裕層・海外取引関係

外資系企業X社に勤務するA氏は、X社の親会社である海外のY社株式を保有していました。A氏は、そのY社株式の配当金の入金口座を以前は日本国内の銀行口座にしていましたが、海外の銀行口座に変更しました。A氏は、それ以降日本での税務申告は自分の給与分だけを申告し、配当金の申告はしていませんでした。これに対し、同様にY社株式を保有するX社の同僚は、Y社株式による配当所得を申告していたため、A氏が所得をごまかしていると想定した日本の税務当局が税務調査を行いました【図1参照】。
税務調査結果:所得税(7年分)申告漏れ所得金額=約1億9千万円、追徴課税=約1億円

【事例1】富裕層・海外取引関係

【事例2】無申告・海外取引関係

日本国内の証券会社に口座を持つB氏は、日本内国法人の株式を保有することで利益を得ていました。その株式を売却するにあたり、外国法人が発行する金融商品を購入して海外の証券会社に開設した口座へ当該金融商品を移して運用益を得ていました。これについて日本の税務当局は、租税条約に基づく情報交換制度を活用して海外の税務当局から得た資料により、B氏が海外で資産運用を行っている事実を把握しました。そして、税務調査を行い無申告であることをつきとめました。B氏は受領した利子や配当を海外の証券口座内で再投資することで、多額の利益を得ていました【図2参照】。
税務調査結果:所得税(7年分)申告漏れ所得金額=約1億3千万円、追徴課税=約3,500万円

【事例2】無申告・海外取引関係

【事例3】インターネット取引・海外取引

日本で人気のある海外ブランドの子供服の個人輸入を行うC氏は、それらを自らのウェブサイトや有名通信販売サイトで販売していました。商売が好調で売上が急増していたことから目を付けた日本の税務当局が税務調査を実施しました。税務調査の結果、所得の一部を不正に除外していたことが判明いしました。C氏は、パソコンで売上データを管理していましたが、申告に当たっては乱数を使用してアットランダムに売上の一定割合を除外していました。
税務調査結果:所得税(5年分)申告漏れ所得金額=約1億2千万円、追徴課税=約5,200万円、消費税(5年分)追徴課税=約700万円