押さえておきたい!日本の税金解説15

競馬のはずれ馬券は経費か?

日本では、2014年度の路線価が発表されました。路線価は、相続税を計算する際に土地の評価額を算出するために用いられるものです。来年1月より相続税の改正があり、基礎控除額が減額され、最高税率が50%から55%に引き上げられます。路線価の上昇は、相続財産の評価額を押し上げるため、相続税の増税に追い打ちをかけることになります。

さて、今月号では、競馬のはずれ馬券が経費にあたるか否かの係争中の事件について、解説をしたいと思います。

大量の馬券を購入

大阪市に住む元会社員の男性が、競馬予想ソフトを使用し2007~09年にインターネットを通じて約28億7千万円分の馬券を購入しました。競馬馬券の払戻金の総額は、約30億1千万円で、この男性は約1億4千万円の利益を得ました。しかし、この男性は、これらについて所得申告をしていませんでした。検察(大阪地検)は、大量購入した馬券の払戻金をめぐり、3年間で得た払戻金のほぼ2分の1の約14億6千万円が課税対象となり、所得税約5億7千万円を脱税したとして所得税法違反(単純無申告)で在宅起訴しました。

1審の大阪地方裁判所では、「馬券を営利目的で継続的に購入しており、もうけた分だけ『雑所得』として課税できる」と判断し、外れ馬券代も経費にあたるとの判決を下しました。次に、大阪高等裁判所で控訴審が行われ、判決では1審を支持し、検察側の控訴を棄却しました。はずれ馬券の購入費が経費になるかが争点でしたが、1審、2審ともにはずれ馬券は、経費になると認定しました。

どの所得に該当するか

日本の税制には、10種類の所得があります。検察(大阪地検)は、馬券の払戻金は偶発的に得た「一時所得」だとして、所得から差し引くことができる経費は、当たり馬券の購入費のみと主張していました。これに対し、1審(大阪地裁)、2審(大阪高裁)ともに「馬券購入は営利を目的とした継続的行為に当たる」として、得た払戻金については、必要経費すべてを所得から控除できる「雑所得」に該当すると判断し、外れ馬券の購入費も経費として認めました。

ここで、一時所得と雑所得をまとめた表(図1)を作成しましたのでご参照ください。

【図1 一時所得と雑所得の比較】

一時所得と雑所得の比較今後の見通し

検察は最高裁への上告を行い、はずれ馬券が経費にあたるかは、最高裁で最終審判が下される見通しとなりました。この事件については、引き続き進展を追ってゆきたいと思います。

日本の税金に関する問題及び対策は、正しい知識と総合的見地からの検討が必要です。いずれも実行なさる前に信頼できる税理士などの専門家にお問い合わせください。