押さえておきたい!日本の税金解説23
相続⑧ +トピック

競馬のはずれ馬券が経費にあたるか否かの係争中の事件について、日本の最高裁は、「はずれ馬券は経費である」と判断しました。

大量の馬券を購入

大阪市に住む元会社員の男性が、自作競馬予想ソフトを使用し2007~09年にインターネットを通じて約28億7千万円分の馬券を購入しました。競馬馬券の払戻金収入総額は、約30億1千万円でしたが、この男性は、これらについて所得申告をしていませんでした。検察(大阪地検)は、大量購入した馬券の払戻金をめぐり、3年間で得た払戻金のほぼ2分の1の約14億6千万円が課税対象となり、所得税約5億7千万円を脱税したとして、この男性を所得税法違反(単純無申告)で在宅起訴しました。

1審、2審判決

1審の大阪地方裁判所では、「馬券を営利目的で継続的に購入しており、もうけた分だけ『雑所得』として課税できる」と判断し、外れ馬券代も経費にあたるとの判決を下しました。次に、2審の大阪高等裁判所で控訴審が行われ、2審の判決は、1審を支持し、検察側の控訴を棄却しました。はずれ馬券の購入費が経費になるかが争点でしたが、1審、2審ともにはずれ馬券は、経費になると認定しました。

最高裁判決

最高裁は、男性が予測ソフトに独自の分析を加えた条件設定や計算式を用いて、長期間にわたり網羅的な馬券購入をして多額の利益を恒常的にあげており、はずれ馬券を含む一連の馬券の購入が経済活動といえる場合には、はずれ馬券の購入費を必要経費であると認定しました。これは、競馬による収入を娯楽ではなく、資産運用の一種と認め、営利目的の継続的行為から生じる雑所得にあたると判断したためです。

所得税基本通達見直しへ

国税庁は、今回の最高裁の判決を受け、馬券の払戻金収入などについて定めている所得税基本通達を見直す方針ですが、今回の事例はあくまで例外とする見解を発表しており、すべてのはずれ馬券が必要経費として認められるかは不透明であります。

所得比較

検察(大阪地検)は、馬券の払戻金は偶発的に得た「一時所得」だとして、所得から差し引くことができる経費は、当たり馬券の購入費のみと主張していました。これに対し、最高裁は「馬券購入は営利を目的とした継続的行為に当たる」として、得た払戻金については、必要経費すべてを所得から控除できる「雑所得」に該当すると判断し、外れ馬券の購入費も経費として認めました。ここで、一時所得と雑所得をまとめた表(図1)を作成しましたのでご参照ください。

図1 一時所得と雑所得の比較
一時所得と雑所得の比較